旅の余白

大阪のオフィスで契約書を前に考え込む女性の旅人。傍らには一振りの剣が立ち、手前の天秤には書類と鍵、パスポート、スマートフォンが載ったヴィンテージ・タロット風の挿絵

寮の契約手続き。10月1日

居合道の帯でこしらえた物干しから、契約会場で出会った東アジアの親たちの心配と世話焼きまで、大阪の寮で私が目にしたのは生活のルールだけではなかった。

大阪で私が暮らしているのは食事付きのワンルームで、費用には申込金、建物維持費、家賃、食費、インターネット代が含まれている。十数平方メートルほどの小さな部屋に三か月住む金額を月ごとに割ってみると、ドイツの中規模都市にある学生向けアパートの家賃とだいたい同じだった。

ドイツなら、この平均的な家賃でもう少し広いワンルームを借りられる。ただし、ドイツで部屋を借りると、家具が一つもない物件に当たることがある。水道、電気、インターネットも自分で契約しなければならず、物件によってはキッチンすらなく、自分で取り付ける必要がある。

もちろんドイツでも、今は「鞄一つで入居できる」アパートや部屋がますます増えている。けれど、実際に借りられるかどうかは、また別の話だ。

今回は短期滞在なので、私がいちばん気にしたのは学校から近いかどうかだけだった。本当に学校から遠くなく、寮にも空室があると確認できたため、請求書を受け取ってすぐに支払った。

寮側で入金が確認されると、別の書類が届き、入居者は管理システムのアプリをダウンロードするよう求められる。寮との連絡、食事の予約、生活上の規則、入居や退寮に関する情報など、すべてこのアプリを通して行われる。

アプリはすべて英語表記だった。ダウンロードして機能をあれこれ触ってみると、あまりにも滑らかに操作できることに驚かされた。何万室もの部屋がこのシステムで動いているのだとしたら、削減できる事務コストも、向上する業務効率も、とてつもないはずだ。

冷蔵庫、テレビ、IHコンロは別途レンタルできる。ただし、私が入居した時には、すでに部屋に冷蔵庫とIHコンロが置かれていた。

テレビを借りることも一度は考えた。けれど、ドイツで二十年暮らすうちにテレビを見ない習慣がついてしまったし、インターネットでも日本語の番組は見られる。そこまで必要でもなさそうなので、やめておいた。

二階には管理室のほか、食事をする食堂とキッチンがあり、事前に申し込めば自炊に使える。

食堂には給水機、給湯器、電子レンジもある。キッチンを使った後は自分で掃除し、生ごみとごみも自分で片づけなければならない。さらに、調理器具は用意されていないため、自炊したければ、まず鍋、フライパン、茶碗、皿を自分でそろえる必要がある。

だから、スポンジと布巾と塩をあらかじめ持ってきた私は、なかなか「先見の明」があったのではないかと思う。日本のスーパーには新鮮な食材があれほど並んでいる。料理は得意ではないものの、「火が通って食べられればそれでいい」という程度の食いしん坊としては、あの新鮮な食材を買って、自分で火を通して食べてみたくて仕方がない XD。

とはいえ、食費はもう払ってしまった。食べなくても返金はされない。それなのに私は好き嫌いが多い。食堂の朝食は和食と洋食から選べるが、夕食は一種類だけで、和食と洋食が交互に出る。

二日間食べてみて、これだけは言える。和食はとてもおいしい。洋食は恐ろしい。

全体として、この寮にはほんの少しだけ「共同管理」の気配があるものの、生活の九割以上は、自分で部屋を借りて暮らす場合と同じように組み立てられている。

寮で共用されている掃除道具は掃除機だけで、それ以外の掃除用品はすべて自分で用意し、掃除も自分でしなければならない。初めて実家を離れて一人暮らしをする学生には、きっとかなり慣れないことだろう。

私が思うのは、短期滞在者として三か月しか住まないのに、これほど多くの掃除用品や洗剤を買わなければならないのか、ということだ。使い切れなければ、最後には誰かの迷惑になる。図々しく誰かに借りるという手もあるが、借りるには、まず知り合いがいなければならない。それが無理なら、自分から少し積極的に動いて、小さなサイズの商品がないか探すしかない。

だって、トイレにはトイレブラシすらないのだから!

洗濯室では洗剤も自分で買う必要があり、コイン式の乾燥機も使える。

しかし、普段はカードだけで生活し、現金を使うことすら面倒がる私にとって、洗濯物をどう乾かすかは問題だった。

幸い、ここ数日は天気がよく、ドイツと比べてもずっと暑い。私の部屋のベランダは道路に面していて、日当たりはいいが、西日もまともに入る。

物干しがなければ、どうする?

そこで目をつけたのが、居合道の稽古のためにわざわざ注文した帯だった。こうして、間に合わせの物干し紐が誕生した。

生活の天才と呼んでくれてもいいのではないだろうか!

規定では、入居から二週間以内に共立の管理部門へ出向き、書面の契約を結ばなければならない。契約日時はオンラインで予約する必要があるため、私は入居翌日の午後に予約を入れた。

共立のオフィスは寮からそれほど遠くなく、地下鉄の駅を出てから徒歩一、二分で着く。

ただし、私はまたしてもGoogle Mapsに従って隣のビルへ行ってしまい、しばらくうろうろして、ようやく正しい建物がどれなのか確認できた。

ビルの入口にある受付も、エレベーター前のセキュリティゲートも、今では形だけのものになっている。そのままエレベーターで八階へ上がれば、共立のオフィスに着く。

八階でエレベーターを降りると、共立のオフィスは右手の廊下の先にある。

私が着いた時、ドアは閉まっていた。そのまま入ると、中では大勢の人が契約手続きをしていた。

契約は一対一で行うものだと思っていたが、そうではなかった。だいたい同じ時間に予約した人が一つの会議室に集められ、契約書も定型のものだった。入居者が本当に条項を変更できるのかどうか、そこは疑わしいと思っている。

とはいえ短期契約で、敷金も取られていなかったので、私もそれほど細かくは気にしなかった。

ところが、現場に着いてから重要な問題に気づいた。パスポートを忘れた!

最初は、これはかなり深刻な問題だと思った。

けれど、現在の共立の手続きはすでに電子化されており、パスポートも語学学校の入学申請書も、ウェブサイトから電子ファイルをアップロードすれば済んだ。

この点は、本当にドイツよりずっと進んでいる。

私が契約した部屋には、ほかに韓国人が一人と、若い台湾人女性が一人いた。その女性の左右には両親が座り、ドアのそばには大きなスーツケースが二つ置かれていた。

台湾人女性の両親は、実に慎重に契約書を確認していた。父親は条項を一つずつ読み上げ、その意味まで説明している。私は最初、その父親が以前に日本で仕事か留学をしていたのかと思った。けれど、よく見ると違った。スマートフォンを手に持ち、AIに翻訳させていただけだった。

隣からは、父親がこんなことを言うのが聞こえた。「これは、火事などで損害が出ても寮は補償しないという意味だ。途中で解約しても返金されない。イギリスにいた時の契約と同じだな……」などなど。

私は心の中で思った。え? 前にもうイギリスへ留学していたの? それなら、海外で暮らした経験はすでにあるはずでは?

その時、共立の社員が私のところへ来て、契約書を渡し、署名欄を指しながら、二つ目の署名欄には親の名前を書く必要があると言った。

私は思わず「え?」と声に出し、英語で言った。「でも、私はもう成人です。それでも親の署名が必要なんですか?」

視界の端で、向かいにいる両親、特に母親がごくりと唾を飲み込むのが見えた。

共立の社員は「ええと」と言葉に詰まった。おそらく「連帯保証人」を英語でどう言えばいいのか分からなかったのだろう。要するに、二人目の名前が必要だということだった。

私は答えた。「では、夫の名前を書けばいいですか?」

向かいの母親が、もう一度ごくりと唾を飲み込んだ。私が既婚女性であることを、ひどく警戒しているように見えた。私が娘に悪い影響を与えるとでも思ったのだろうか。

あの若い台湾人女性がどれほどの期間留学するのか、私は知らない。契約書は全部で三ページしかなかったのに、私が部屋に入ってから出るまで、家族は一度も契約室を出なかった。

現場で契約を結ぶ時は、たいてい契約に人質に取られるしかない。そこで私はChatGPTに翻訳と説明をしてもらい、あまりにもひどい規則がないことを確認した。基本的な考え方は、ドイツで自分で部屋を借りる時と変わらない。室内に何らかの変更を加える場合は許可を得なければならず、後で元の状態に戻す必要がある。

退去時には掃除もしなければならず、しなければ追加料金を取られる。

そこで思い出した。入居時に部屋の写真を撮り忘れ、管理人から状態を記録する用紙も渡されていなかった。この時点では、もう信頼に頼るしかなかった。

私は契約書にさらさらと署名し、書類をアップロードした。あとは担当者が戻ってきたら、さっさと立ち去るつもりだった。

その時、もう一人の若い台湾人女性が入ってきた。スーツケースの持ち主は彼女だったのだ。

向かいに座っていた台湾人の母親は、入ってきた女性にとても丁寧に挨拶し、こう尋ねた。

「飛行機を降りて、そのまま契約に来たの?」

女性は答えた。「そうです! 着いたばかりなので、先に用事を済ませようと思って。」

母親は感心したように言った。「本当に自立しているのね!」

私は心の中で咳払いをして思った。あなたたちが娘について来なければ、娘だって自立できるでしょう! どうして自分の娘の前で、そんなふうに他人を褒めるのか。たとえ自分の娘が本当に自立できない人なのだとしても、どうやってそう育てたのかを考えるべきではないのか!

忙しい共立の社員が再び姿を見せた頃、若い台湾人女性はインターネット接続に問題が起きたらしく、書類を送信できずにいた。一方の私は、すばやく立ち上がり、颯爽とその場を後にした。

東アジアの親たちの心配と世話焼きは、2026年になってもなお、受け継がれている。

共立は、いったいどんな大家なのだろう。この三か月、見守っていこう。

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